「みんな、二週間ありがとうございました」
「本当、お世話になりました」

海へ帰る日、みんなそろって朝早くにいつもの岩場に集まってくれた。
朝陽がキラキラと水面を反射している。
わたしと湊は海へと入って、元の姿へと戻った。

「次に会うときは結婚式前だね」
「また日時は連絡するから」
「こっちで出来ることはやっておくから、心配しないで!そっちの婚約発表頑張ってよね」
「ええ、ありがとう」
「歌音、CDの出来上がり楽しみにしてて」
「そうそう、枚数は確保しとくからさっ」
「うんっ。ああ、でも残念」
「え?」
「CDって海では聞けないもの…せっかく素敵な演奏なのに、本当に残念だわ」
「電子機器は海じゃ使えないもんな」
「まぁまぁ、次来たとき、な」
「ええ」
「歌音、そろそろ行こう」
「そうね、湊。じゃあ、本当にありがとう!」
「またねっ」
「湊、歌音のことよろしくね!」
「ああ」

みんなに手を振って、わたしと湊はザッと水の中へ潜った。
久しぶりの感覚にわくわくしてぞくぞくする。

「行こう」
「ええ」

差し出された手を取って、きゅっと握り合って下へ下へと泳ぎだした。