「そういえば・・・」
「ん?」
「わたし、ひとつ気になってたことがあるの」
「・・・何?」
「クラシックってすごーく昔の人の作った曲のことなんだよね」
「軽く100年。300年くらい普通だな」
「そんなに昔の曲を今もやってるなんて・・・」
「すごいだろ?」
そう。作られた年を知って驚いたの。
クラシックって最近の曲の事じゃない。とても古い曲達。
そんなに昔の曲を、今も誰かが口ずさんで、誰かが弾いている。
なんだかとても・・・不思議な感じがする。
「クラシックってさ、実は超ベストセラーでロングヒットなジャンルなんだよ」
連斗君がヴァイオリンをケースにしまいながら言った。
ベストセラーでロングヒット・・・?
「テレビとかでやってる売れてるCDランキングとかには決して入らないけどさ、
考えてもみてよ。今売れてる人気の曲は長くても数年で姿を消すけど、
クラシックって100年も200年もずーっと消えないで残ってる曲なんだよ」
「・・・確かに・・・」
「CDとか、録音の技術がない時代から今現在までずーっと続いてるんだ。
誰かがいいなって思ったり、素敵だと思ったりして、演奏して、人々に伝えて、
そしてそれを良いと思った誰かがそれを演奏して・・・。
そうやって残されてきて、今現在まで続いてる音楽なんだよ」
「あー・・・確かにそうだな」
「何万曲とあって、たくさんの楽譜が出版されてて、たくさんのCDがあって、たくさんの演奏会がある。
今一瞬のことじゃなくて、何百年も前から続いてるんだから、超ロングヒットだろ?」
「・・・そうね」
「今こうやっておれたちが演奏してるのだって、いいなと思うからなんだよ。な、透也」
「・・・ああ。名曲がたくさんあるし・・・
やっぱり何年経っても人に感動を与える音楽なんだろうな・・・クラシックって」
「・・・素敵ね、クラシックって・・・。
昔の曲を今でも演奏してるのを知ったときにびっくりしたけど・・・なんだか納得したわ。
素敵だなって思った人がたくさんいて、そして演奏する人がいて、
それがたくさんたくさん、鎖のように繋がって今に至るのね。
今もこうして連斗君達みたいに素敵だって思って演奏する人がいるから・・・
これからもクラシックは続いていくのね」
「そうそう。クラシックなんてお堅い音楽で古くていやだっていう人もいるけど、
こんなロングヒットの音楽を聴かないなんてもったいないだろ?」
「くすっ。そうね。確かにもったいないわ」
「楽譜に書かれただけじゃ音楽ないし。演奏者がいて始めて成り立つ音楽だよな。
今はCDとかでいつでも自由に聞けるけど・・・昔はそうじゃないし」
「おお、良いこと言うじゃないか透也」
「・・・おまえに言われたかないな・・・」
「もっとたくさんの曲を聞いてみたくなったわ」
「膨大な数があるからなー・・・」
「それなら、今度コンサートにでも行く?学生は安くチケット買えたりするんだよ」
「わぁっ、是非行きたいわ」
クラシックって古い音楽なのに、今も生きている音楽なのね。
紙の上に書かれた楽譜を読み取って、演奏する人がたくさんいる。
そしてその演奏を聴く人がいる。
その曲を素敵だと思う人がたくさんいて、良いと思う人がたくさんいて、
そして鎖のごとくずっと演奏され続けている・・・。
わたしも、クラシックはとても素敵な音楽だと思う。
ほんの一瞬でも・・・わたしもその鎖の一部なのね・・・。
きっと、これからもずっと、この鎖はとぎれることなく続いていくのね・・・。
だって、すでに何百年も続いているんだもの。
まだまだ未来にも繋がっているはずよね。
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