「へーえ、文化祭、おもしろそーねっ」
「あたしたちの学校にもあればいいのにー」
「そうよねー愛音」
「衣装がたくさんあるっていうの、いいわよね」
「海ではあまり必要ないですから」
わたしたち人魚は人間みたいに脚がある訳じゃない。
靴も靴下もいらない。
ズボンは履けないし、スカートなんてないほうが自由に泳ぎ回れる。
あるのは胸当てだけ。
それも女子だけだものね。
「じゃあ、あたしたちで作りましょうよ」
「紫音姉様?」
「この人間界の写真参考にしてさ、デザインして作っちゃおうよ」
「へえ、面白そうですねっ」
「でしょ、波音。それで、歌会でお披露目しちゃうの」
「なるほど・・・紫音にしてはいい発想ね」
「あたしにしてはって何ですかー海音姉様」
「くすくす。いいわ、私も賛成よ。
私たち王族の衣装じゃないものが普及したっていいものね」
「確かに・・・公式衣装なんて一年に一回くらいしか着ないですしね」
「萌音も賛成っ」
「愛音もっ」
「じゃ、キマリね。とりあえず、アルバムを見終わってからそれは考えましょ」
「はーいっ。姉様、次、早くっ」
「はいはい」
ぱらっと紫音姉様がアルバムをめくった。
紫音姉様の発言で開始した衣装。
これが大好評で、直属のお店を開いて販売した。
少しでも形が違えば、オシャレに見えるものなのよ。
種類は多くない。
けれど、色数だけは豊富。
わたしたちが歌会で着ているという効果もあってでしょうね…。
このお店で売られている服は“プリンセス・デザイン”と呼ばれている。
誰が言い出したのかはわからないけれど・・・。
人間界留学でのことが、こんな風に役に立つなんて思わなかった。
本当に、写真を加工してくれた真珠達に感謝だわ。
**fin** 2007.09.10.
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